弁護士 木村康之のブログ

世田谷区・経堂の弁護士です。身近な法律問題についての情報を発信していきます。

04 行政事件

判決文掲載のお知らせ(判例時報No.2396)

判例時報No.2396 平成31年4月11日号に,担当事件である『生活保護法63条に基づく保護費の返還決定について、処分行政庁の返還額の判断が保護の実施機関に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとは認められないとし、また、処分…

生活保護法第63条による返還請求権の一部の非免責債権化

生活保護法第77条の2,第78条の2の施行 厚生労働省令により非免責債権化から除外される場合 「保護の実施機関の責めに帰すべき事由」の具体例 生活保護法第77条の2,第78条の2の施行 生活保護法第63条による返還請求権の一部を非免責債権化し…

日本社会保障法学会第73回大会

日本社会保障法学会第73回@早稲田大学に参加してきました。 2018年5月19日(土)ミニシンポジウム 「障害のある人の人権と家族・にない手の人権-津久井やまゆり園殺傷事件を契機に-」 2018年5月20日(日)全体シンポジウム 「わが国にお…

生活保護法63条の非免責債権化により生じるアンバランス

保護実施機関が支給済み保護費の返還を求める方法 ①「戻入の決定」による取扱い ②生活保護法63条の適用 ①「戻入の決定」と②生活保護法63条の関係 生活保護法63条を非免責債権とすることにより生じるアンバランス 発見月から前々月について生じるアンバ…

『「生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案」から生活保護法第77条の2、同法第78条の2の削除を求める意見書』(東京弁護士会)

東京弁護士会のホームページに,『「生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案」から生活保護法第77条の2、同法第78条の2の削除を求める意見書』が掲載されています。

「いわゆる生活保護法63条返還債権について非免責債権化し保護費からの天引き徴収を可能とする生活保護法改正案に反対する意見書」(日本弁護士連合会)

日本弁護士連合会のホームページに,「いわゆる生活保護法63条返還債権について非免責債権化し保護費からの天引き徴収を可能とする生活保護法改正案に反対する意見書」が掲載されています。

過誤払いと生活保護法63条(受け取りすぎた生活保護費は全額返還?・その3)

保護費の過誤払いに対する生活保護法63条の適用 「過誤払い型」の特徴 資力が発生と同時に現実化すること 生活保護費の支給決定に過誤があること 資力が費消済みである可能性が高いこと 「過誤払い型」の取扱い 原則としての遡及変更 生活保護法63条の適…

生活保護法63条本来の適用場面(受け取りすぎた生活保護費は全額返還?・その2)

生活保護法63条が適用される場面は… 生活保護法63条本来の適用場面 「生活保護法63条本来型」の特徴 現実化していない資力が存在すること 保護費の支給決定に過誤がないこと 現実化した資力から保護費の返還が可能であること 「生活保護法63条本来型…

​ 担当ケースワーカーの不可解な対応の背景(【控訴審報告】「生活保護受給世帯の就職活動にパソコンが必要なら,知人等から借りて賄えばいい。」という判決)

控訴審での審理 控訴審で新たに判明した事実 東村山市で発生した生活保護費の過大支給(7年間で70件,計4704万8652円)との関係 東京都福祉保健局保護課による特別指導検査での指摘事項 担当ケースワーカーの不可解な対応の背景にあったもの 控訴…

裁判例と行政実務の状況(【補足4】「生活保護受給世帯の就職活動にパソコンが必要なら,知人等から借りて賄えばいい。」という判決)

考え方の異なる東京地裁の2判決 東京地方裁判所平成29年9月21日判決 東京地方裁判所平成29年2月1日判決 行政における異なる2つの取扱い 返還決定を取り消す自治体 東村山市での取扱い 考え方の異なる東京地裁の2判決 東京地方裁判所平成29年9…

生活保護費の過支給はなぜ起こったのか(【補足3】「生活保護受給世帯の就職活動にパソコンが必要なら,知人等から借りて賄えばいい。」という判決)

Aさんに生活保護費が多く支給された理由は…? Aさんに生活保護費が多く支給された理由と経緯 生活保護の受給と就労の開始 収入申告書の提出 担当ケースワーカーの収入認定 退職と離職票の提出 パソコンの購入 給与明細の提出 担当ケースワーカーの交代と保…

判決文と報告記事掲載のお知らせ

「賃金と社会保障」(1696号)への報告記事の掲載 生活保護法63条の「保護の実施機関の定める額」について 医療扶助部分の返還額の決定について 「賃金と社会保障」(1696号)への報告記事の掲載 平成29年12月29日発売の「賃金と社会保障」…

生活保護法63条と78条の違い(受け取りすぎた生活保護費は全額返還?・その1)

受け取りすぎた生活保護費を全額返還させるのは当然? 生活保護費の返還に関する2つのルール 生活保護法78条 生活保護法63条 生活保護費の返還を求められたら 受け取りすぎた生活保護費を全額返還させるのは当然? 「生活保護受給世帯の就職活動にパソ…

朝日新聞の報道について(【補足2】「生活保護受給世帯の就職活動にパソコンが必要なら,知人等から借りて賄えばいい。」という判決)

生活保護法63条に基づく返還決定であること 生活保護費が過支給となった経緯 判決文について 朝日新聞の記事について 昨日の朝日新聞の記事との関係で, ・新聞の記事からは,生活保護費が多く支給された経緯等が分からない。 ・先日のブログ記事と,新聞…

判決の問題点について(【補足1】「生活保護受給世帯の就職活動にパソコンが必要なら,知人等から借りて賄えばいい。」という判決))

生活保護法63条に基づく返還決定であること 生活保護法63条に基づく返還金額の決め方 行政実務の取扱い 今回の判決の問題点 生活保護法78条に基づく返還決定との違い 先日の記事に掲載した東京地判平成29年9月21日について,新聞でも取り上げてい…

『「PCは人から借りられる」生活保護費の返還命じる判決』(東京地判平成29年9月21日)についてのコメント掲載(朝日新聞)

平成29年11月28日の朝日新聞朝刊に,私が担当している東京地判平成29年9月21日についての記事が掲載されました。 『「PCは人から借りられる」生活保護費の返還命じる判決』(http://www.asahi.com/articles/ASKCW62D3KCWUTIL05H.html?iref=comt…

「生活保護受給世帯の就職活動にパソコンが必要なら,知人等から借りて賄えばいい。」という判決(東京地判平成29年9月21日)

原告の訴え 裁判所の判断 裁判の内容についての補足 私が担当している裁判(生活保護法第63条の規定に基づく費用返還請求処分取消請求事件)で,目を疑うような内容の判決が言い渡されました。 原告の訴え 原告であるAさんは,生活保護を受給していました…

年金支分権の消滅時効の起算点についての最高裁判決(年金支分権の消滅時効の起算点・その6)

年金の支給を受ける権利(支分権)の消滅時効の起算点についての最高裁判決 最高裁の判断は… 最三判平成29年10月17日 年金の支給を受ける権利(支分権)の消滅時効の起算点についての最高裁判決 以前記事を書いた,年金の支給を受ける権利(支分権)の…

日本社会保障法学会第70回秋季大会

日本社会保障法学会第70回秋季大会@神奈川大学に参加してきました。

医師・歯科医師に対する行政処分(医道審議会)で厳重注意(処分なし)とされた事例【行政事件】

事案の概要 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反で逮捕・勾留された後に罰金刑(略式命令)を受けたことにより,行政処分の対象となった事案。 弁護活動と結果 弁明の聴取において,依頼者の行為が限りなく過…

義援金の使途と「自立更生」(生活保護と義援金③)

義援金の使途 「東日本大震災による被災者の生活保護の取扱いについて(その3)」 「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」 義援金の使途 前回までの記事で,『自立更生のためにあてられる義援金は,被保護世帯の「収入」とは認定されない』こ…

「自立更生のためにあてられる」義援金(生活保護と義援金②)

「自立更生のためにあてられる」義援金とは… 「生活保護法による保護の実施要領について」 東日本大震災・熊本地震における通知の修正 義援金の使途は… 「自立更生のためにあてられる」義援金とは… 1つ前の記事で,『自立更生のためにあてられる義援金は,…

義援金と収入認定(生活保護と義援金①)

義援金と収入認定 「生活保護法による保護の実施要領について」 厚生労働省の見解 自立更生のためにあてられる義援金は,被保護世帯の「収入」とは認定されない 収入認定から除外される義援金とは? 義援金と収入認定 「義援金は収入」善意に壁 生活保護停止…

医師・歯科医師の犯罪と行政処分~医道審議会・その2~

ブログ「総合内科専門医の言いたい放題」からのご指摘 法務省から厚生労働省への情報提供 厚生労働省への情報提供がなされる事案の基準 医道審議会の対象になるのは,「罰金刑」(=刑事罰)に処せられた場合 反則金(=行政罰)は,厚生労働省への情報提供…

記録訂正の申立手続(厚生年金未加入に対する対応策・その10)

年金記録第三者委員会への申立て 記録の訂正の申立て 年金記録第三者委員会の判断 年金記録の訂正 将来の年金額への反映 年金記録第三者委員会への申立て 記録の訂正の申立て 時効消滅した保険料に係る被保険者期間について,将来の年金額に反映してもらうた…

「消えた年金」問題と厚生年金特例法(厚生年金未加入に対する対応策・その9)

「消えた年金」問題 給与明細上,厚生年金保険料が源泉徴収されていることが持つ意味 「消えた年金」問題の社会問題化 厚生年金特例法の制定 厚生年金特例法の内容 「消えた年金」問題 給与明細上,厚生年金保険料が源泉徴収されていることが持つ意味 給与明…

年金記録第三者委員会への申立て(厚生年金未加入に対する対応策・その8)

年金記録第三者委員会への申立て 厚生年金保険料が源泉徴収されている場合には… 年金記録第三者委員会への申立ての手続き 年金記録第三者委員会への申立て 前回までの記事では,厚生年金の保険料徴収権が時効消滅した場合の対応策として,事業主に対する損害…

過失相殺と確認請求の関係(厚生年金未加入に対する対応策・その7)

過失相殺と確認請求の関係 過失相殺を認めなかった裁判例 事情によっては過失相殺が認められる可能性もある 過失相殺と確認請求の関係 ⑤の過失相殺については,厚生年金保険法31条1項が被保険者に確認請求を認めている事との関係で,被保険者が確認請求を…

厚生年金未加入による損害額の算定(厚生年金未加入に対する対応策・その6)

届出義務の懈怠による損害額の算定 損害とは… 積極損害 消極損害(逸失利益) 既に年金の受給を開始している場合 年金の受給を開始していない・受給資格期間を満たしていない場合 逸失利益が認められない場合でも… 被保険者が負担すべきであった保険料額の控…

運転免許取消・免許停止処分についてご相談いただくタイミング(運転免許取消・免許停止処分の軽減・その6)

免許取消や免許停止の処分について相談するタイミング 意見の聴取より前がベスト 意見の聴取より前に相談した方が良い理由は… 免許取消や免許停止の処分について相談するタイミング 免許取消や免許停止の処分について,相談するのはいつが良いのか,というご…