生活保護法第77条の2,第78条の2の施行
生活保護法第63条による返還請求権の一部を非免責債権化し,保護費からの天引きを可能にする生活保護法の改正法が今日から施行されています。
第77条の2
急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けた者があるとき(徴収することが適当でないときとして厚生労働省令で定めるときを除く。)は、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村の長は、第63条の保護の実施機関の定める額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
2 前項の規定による徴収金は、この法律に別段の定めがある場合を除き、国税徴収の例により徴収することができる。
第78条の2
保護の実施機関は、被保護者が、保護金品(金銭給付によつて行うものに限る。)の交付を受ける前に、厚生労働省令で定めるところにより、当該保護金品の一部を、第77条の2第1項又は前条第1項の規定により保護費を支弁した都道府県又は市町村の長が徴収することができる徴収金の納入に充てる旨を申し出た場合において、保護の実施機関が当該被保護者の生活の維持に支障がないと認めたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該被保護者に対して保護金品を交付する際に当該申出に係る徴収金を徴収することができる。
厚生労働省令により非免責債権化から除外される場合
上記のとおり,生活保護法77条の2には「(徴収することが適当でないときとして厚生労働省令で定めるときを除く。)」という留保が付されており,この「厚生労働省令で定めるとき」については,生活保護法施行規則に以下のとおり定められました。
(厚生労働省令で定める徴収することが適当でないとき)
第22条の3
法第77条の2第1項の徴収することが適当でないときとして厚生労働省令で定めるときは、保護の実施機関の責めに帰すべき事由によつて、保護金品を交付すべきでないにもかかわらず、保護金品の交付が行われたために、被保護者が資力を有することとなつたときとする。
「保護の実施機関の責めに帰すべき事由」の具体例
上記の「保護の実施機関の責めに帰すべき事由」とは具体的にどのような場合を指すのかですが,2018年9月4日に行われた生活保護関係全国係長会議の配付資料では,以下のような場合が具体例として挙げられています。
2 法第77条の2に基づく費用徴収決定について
法第77条の2第1項及び生活保護法施行規則(昭和25年厚生省令第21号)第22条の3に基づき費用徴収の例外となる「保護の実施機関の責めに帰すべき事由によつて、保護金品を交付すべきでないにもかかわらず、保護金品の交付が行われたために、被保護者が資力を有することとなつたとき」とは、具体的には、被保護者から適時に収入申告書等が提出されていたにもかかわらずこれを保護費の算定に適時に反映できなかった場合、保護の実施機関が実施要領等に定められた調査を適切に行わなかったことにより保護の程度の決定を誤った場合等である。