義援金と収入認定
先日,こんなタイトルのニュース記事がネット上に流れていました。
この記事のタイトルだけを見ると,義援金がすべて「収入」として扱われてしまい,「収入」と認定された分だけ生活保護費が減額される,あるいは生活保護が停止・廃止されるような印象を受けますが,決してそんなことはありません。
以下,厚生労働省の通知をもとに解説してみます。
「生活保護法による保護の実施要領について」
「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和36年4月1日 厚生省発社第123号 厚生事務次官通知)では,以下のとおり定められています。
第8 収入の認定
収入の認定は、次により行うこと。
(中略)
3 認定指針
(3) 次に掲げるものは、収入として認定しないこと。
ア 社会事業団体その他(地方公共団体及びその長を除く。)から被保護者に対し て臨時的に恵与された慈善的性質を有する金銭であって、社会通念上収入として認定することが適当でないもの
(中略)
オ 災害等によって損害を受けたことにより臨時的に受ける補償金、保険金又は見舞金のうち当該被保護世帯の自立更生のためにあてられる額
(以下省略)
厚生労働省の見解
震災の義援金については,第8の3(3)アまたはオの適用が考えられますが,厚生労働省は,第8の3(3)オを適用するという見解を採っているようです。
(以下では,厚労省の見解に基づいて解説します。)
自立更生のためにあてられる義援金は,被保護世帯の「収入」とは認定されない
震災の義援金について,第8の3(3)オが適用されるということは,この記事のタイトルのとおり『自立更生のためにあてられる義援金は,被保護世帯の「収入」とは認定されない』ということです。
収入認定から除外される義援金とは?
ただ,この通知だけでは,義援金を具体的にどうすれば「自立更生のためにあてられる」とされ,収入認定から除外されるのかまでは分かりません。
この点については,長くなるので別の記事で解説したいと思います。