弁護士 木村康之のブログ

世田谷区・経堂の弁護士です。身近な法律問題についての情報を発信していきます。

04-01-01 公的年金

厚生年金、「士業」の個人事業所も対象に:日本経済新聞

www.nikkei.com 【厚生年金保険法】 (適用事業所)第六条 次の各号のいずれかに該当する事業所若しくは事務所(以下単に「事業所」という。)又は船舶を適用事業所とする。一 次に掲げる事業の事業所又は事務所であつて、常時五人以上の従業員を使用するも…

年金支分権の消滅時効の起算点についての最高裁判決(年金支分権の消滅時効の起算点・その6)

年金の支給を受ける権利(支分権)の消滅時効の起算点についての最高裁判決 最高裁の判断は… 最三判平成29年10月17日 年金の支給を受ける権利(支分権)の消滅時効の起算点についての最高裁判決 以前記事を書いた,年金の支給を受ける権利(支分権)の…

記録訂正の申立手続(厚生年金未加入に対する対応策・その10)

年金記録第三者委員会への申立て 記録の訂正の申立て 年金記録第三者委員会の判断 年金記録の訂正 将来の年金額への反映 年金記録第三者委員会への申立て 記録の訂正の申立て 時効消滅した保険料に係る被保険者期間について,将来の年金額に反映してもらうた…

「消えた年金」問題と厚生年金特例法(厚生年金未加入に対する対応策・その9)

「消えた年金」問題 給与明細上,厚生年金保険料が源泉徴収されていることが持つ意味 「消えた年金」問題の社会問題化 厚生年金特例法の制定 厚生年金特例法の内容 「消えた年金」問題 給与明細上,厚生年金保険料が源泉徴収されていることが持つ意味 給与明…

年金記録第三者委員会への申立て(厚生年金未加入に対する対応策・その8)

年金記録第三者委員会への申立て 厚生年金保険料が源泉徴収されている場合には… 年金記録第三者委員会への申立ての手続き 年金記録第三者委員会への申立て 前回までの記事では,厚生年金の保険料徴収権が時効消滅した場合の対応策として,事業主に対する損害…

過失相殺と確認請求の関係(厚生年金未加入に対する対応策・その7)

過失相殺と確認請求の関係 過失相殺を認めなかった裁判例 事情によっては過失相殺が認められる可能性もある 過失相殺と確認請求の関係 ⑤の過失相殺については,厚生年金保険法31条1項が被保険者に確認請求を認めている事との関係で,被保険者が確認請求を…

厚生年金未加入による損害額の算定(厚生年金未加入に対する対応策・その6)

届出義務の懈怠による損害額の算定 損害とは… 積極損害 消極損害(逸失利益) 既に年金の受給を開始している場合 年金の受給を開始していない・受給資格期間を満たしていない場合 逸失利益が認められない場合でも… 被保険者が負担すべきであった保険料額の控…

事業主に対する損害賠償請求を認めた裁判例(厚生年金未加入に対する対応策・その5)

事業主に損害賠償請求をするためには… 事業主の届出義務は「私法上の義務」か? 事業主に対する損害賠償請求を認めた裁判例 事業主に損害賠償請求をするためには… 厚生年金への未加入を理由に、被保険者が事業主に対して損害賠償を請求する場合、債務不履行…

事業主に対する損害賠償請求(厚生年金未加入に対する対応策・その4)

確認請求をすれば不利益は避けられるが… 事業主に対する損害賠償請求 確認請求をすれば不利益は避けられるが… 前回の記事の通り,保険料徴収権の時効消滅前に確認請求をすることができれば,保険料徴収権が時効消滅してしまうことに伴う不利益を回避すること…

被保険者による確認請求(厚生年金未加入に対する対応策・その3)

事業主による届出の懈怠 届出がなされなかった場合の不利益 被保険者による確認請求 届出がなされなかったことによる不利益を回避できる 事業主による届出の懈怠 このように,本来であれば,事業主による届出(厚年27条)→厚生労働大臣による確認(厚年1…

厚生年金への加入手続(厚生年金未加入に対する対応策・その2)

厚生年金への加入手続 厚生労働大臣の確認 事業主による届出 厚生年金への加入手続 そもそも,厚生年金への加入手続はどのように行われるのでしょうか。 厚生労働大臣の確認 厚生年金の被保険者資格については,厚生年金保険法9条が「適用事業所に使用され…

厚生年金未加入が生じる仕組み(厚生年金未加入に対する対応策・その1)

事業主が厚生年金への加入手続をしないことがある 厚生年金未加入が生じる仕組みと対応策は… 事業主が厚生年金への加入手続をしないことがある サラリーマンやOLなど,民間企業にお勤めの方の場合,会社によって厚生年金の加入手続が行われ,保険料が源泉徴…

年金支分権の効力発生について裁定が果たす機能(年金支分権の消滅時効の起算点・その5)

東京高裁判決vs名古屋高裁判決 支分権の効力発生について,裁定が果たす機能 私見 東京高裁判決vs名古屋高裁判決 前回までの記事でご紹介したとおり,東京高裁と名古屋高裁の判断は分かれていますが,どちらの判断が正当といえるでしょうか。 支分権の効力発…

年金受給権の裁定までは消滅時効の期間は進行しないとする裁判例(年金支分権の消滅時効の起算点・その4)

名古屋高判平成24年4月20日の判示 名古屋高裁判決によれば… 名古屋高判平成24年4月20日の判示 前回の記事でご紹介した東京高判平成23年4月20日に対し、名古屋高判平成24年4月20日は以下のとおり判示しています。 『…国民年金法16条は…

年金受給権の裁定前から消滅時効期間の進行を認める裁判例(年金支分権の消滅時効の起算点・その3)

東京高判平成23年4月20日の判示 東京高裁判決によれば… 東京高判平成23年4月20日の判示 前回までの記事で述べた問題点について,東京地判平成22年11月12日は以下のように判示し,東京高判平成23年4月20日もこれを踏襲しました。 『…年…

年金受給権の裁定と「権利を行使することができる時」の関係(年金支分権の消滅時効の起算点・その2)

年金の支給を受けるために必要な手続 国民年金法16条と最高裁判決 年金の支給を受けるためには裁定が必要 問題の所在 年金の支給を受けるために必要な手続 ところで,②年金の支分権は,支払期月が到来すれば当然に支払いが受けられる,というわけではあり…

年金支分権の「権利を行使することができる時」(年金支分権の消滅時効の起算点・その1)

年金の支給を受ける権利の消滅時効 平成19年7月6日の法改正より前の取扱い 年金の支分権の消滅時効 会計法及び民法の適用 「権利を行使することができる時」はいつか 年金の支給を受ける権利の消滅時効 年金の支給を受ける権利も,他の債権と同じように…