弁護士 木村康之のブログ

世田谷区・経堂の弁護士です。身近な法律問題についての情報を発信していきます。

04-01-02 生活保護

生活保護の「申請」と「相談」

厚労省ホームページ。「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください。」よくある誤解もあわせて説明しています。https://t.co/olKQqJEqvX pic.twitter.com/1Ip2hjFyI9 — 尾辻かな…

生活保護と手持金・不動産・自動車

生活保護を申請するためには、現金や食料がまったく無いことは当然として、不動産や株などはもちろん車やバイクの保有もダメ、金目の物はすべて売り払ってスッカラカンになった上、支援してくれる血縁者などが1人もいないことを証明しなくてはならない。菅義…

判決文掲載のお知らせ(判例時報No.2396)

判例時報No.2396 平成31年4月11日号に,担当事件である『生活保護法63条に基づく保護費の返還決定について、処分行政庁の返還額の判断が保護の実施機関に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとは認められないとし、また、処分…

生活保護法第63条による返還請求権の一部の非免責債権化

生活保護法第77条の2,第78条の2の施行 厚生労働省令により非免責債権化から除外される場合 「保護の実施機関の責めに帰すべき事由」の具体例 生活保護法第77条の2,第78条の2の施行 生活保護法第63条による返還請求権の一部を非免責債権化し…

生活保護法63条の非免責債権化により生じるアンバランス

保護実施機関が支給済み保護費の返還を求める方法 ①「戻入の決定」による取扱い ②生活保護法63条の適用 ①「戻入の決定」と②生活保護法63条の関係 生活保護法63条を非免責債権とすることにより生じるアンバランス 発見月から前々月について生じるアンバ…

『「生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案」から生活保護法第77条の2、同法第78条の2の削除を求める意見書』(東京弁護士会)

東京弁護士会のホームページに,『「生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案」から生活保護法第77条の2、同法第78条の2の削除を求める意見書』が掲載されています。

「いわゆる生活保護法63条返還債権について非免責債権化し保護費からの天引き徴収を可能とする生活保護法改正案に反対する意見書」(日本弁護士連合会)

日本弁護士連合会のホームページに,「いわゆる生活保護法63条返還債権について非免責債権化し保護費からの天引き徴収を可能とする生活保護法改正案に反対する意見書」が掲載されています。

過誤払いと生活保護法63条(受け取りすぎた生活保護費は全額返還?・その3)

保護費の過誤払いに対する生活保護法63条の適用 「過誤払い型」の特徴 資力が発生と同時に現実化すること 生活保護費の支給決定に過誤があること 資力が費消済みである可能性が高いこと 「過誤払い型」の取扱い 原則としての遡及変更 生活保護法63条の適…

生活保護法63条本来の適用場面(受け取りすぎた生活保護費は全額返還?・その2)

生活保護法63条が適用される場面は… 生活保護法63条本来の適用場面 「生活保護法63条本来型」の特徴 現実化していない資力が存在すること 保護費の支給決定に過誤がないこと 現実化した資力から保護費の返還が可能であること 「生活保護法63条本来型…

​ 担当ケースワーカーの不可解な対応の背景(【控訴審報告】「生活保護受給世帯の就職活動にパソコンが必要なら,知人等から借りて賄えばいい。」という判決)

控訴審での審理 控訴審で新たに判明した事実 東村山市で発生した生活保護費の過大支給(7年間で70件,計4704万8652円)との関係 東京都福祉保健局保護課による特別指導検査での指摘事項 担当ケースワーカーの不可解な対応の背景にあったもの 控訴…

裁判例と行政実務の状況(【補足4】「生活保護受給世帯の就職活動にパソコンが必要なら,知人等から借りて賄えばいい。」という判決)

考え方の異なる東京地裁の2判決 東京地方裁判所平成29年9月21日判決 東京地方裁判所平成29年2月1日判決 行政における異なる2つの取扱い 返還決定を取り消す自治体 東村山市での取扱い 考え方の異なる東京地裁の2判決 東京地方裁判所平成29年9…

生活保護費の過支給はなぜ起こったのか(【補足3】「生活保護受給世帯の就職活動にパソコンが必要なら,知人等から借りて賄えばいい。」という判決)

Aさんに生活保護費が多く支給された理由は…? Aさんに生活保護費が多く支給された理由と経緯 生活保護の受給と就労の開始 収入申告書の提出 担当ケースワーカーの収入認定 退職と離職票の提出 パソコンの購入 給与明細の提出 担当ケースワーカーの交代と保…

判決文と報告記事掲載のお知らせ

「賃金と社会保障」(1696号)への報告記事の掲載 生活保護法63条の「保護の実施機関の定める額」について 医療扶助部分の返還額の決定について 「賃金と社会保障」(1696号)への報告記事の掲載 平成29年12月29日発売の「賃金と社会保障」…

生活保護法63条と78条の違い(受け取りすぎた生活保護費は全額返還?・その1)

受け取りすぎた生活保護費を全額返還させるのは当然? 生活保護費の返還に関する2つのルール 生活保護法78条 生活保護法63条 生活保護費の返還を求められたら 受け取りすぎた生活保護費を全額返還させるのは当然? 「生活保護受給世帯の就職活動にパソ…

朝日新聞の報道について(【補足2】「生活保護受給世帯の就職活動にパソコンが必要なら,知人等から借りて賄えばいい。」という判決)

生活保護法63条に基づく返還決定であること 生活保護費が過支給となった経緯 判決文について 朝日新聞の記事について 昨日の朝日新聞の記事との関係で, ・新聞の記事からは,生活保護費が多く支給された経緯等が分からない。 ・先日のブログ記事と,新聞…

判決の問題点について(【補足1】「生活保護受給世帯の就職活動にパソコンが必要なら,知人等から借りて賄えばいい。」という判決))

生活保護法63条に基づく返還決定であること 生活保護法63条に基づく返還金額の決め方 行政実務の取扱い 今回の判決の問題点 生活保護法78条に基づく返還決定との違い 先日の記事に掲載した東京地判平成29年9月21日について,新聞でも取り上げてい…

『「PCは人から借りられる」生活保護費の返還命じる判決』(東京地判平成29年9月21日)についてのコメント掲載(朝日新聞)

平成29年11月28日の朝日新聞朝刊に,私が担当している東京地判平成29年9月21日についての記事が掲載されました。 『「PCは人から借りられる」生活保護費の返還命じる判決』(http://www.asahi.com/articles/ASKCW62D3KCWUTIL05H.html?iref=comt…

「生活保護受給世帯の就職活動にパソコンが必要なら,知人等から借りて賄えばいい。」という判決(東京地判平成29年9月21日)

原告の訴え 裁判所の判断 裁判の内容についての補足 私が担当している裁判(生活保護法第63条の規定に基づく費用返還請求処分取消請求事件)で,目を疑うような内容の判決が言い渡されました。 原告の訴え 原告であるAさんは,生活保護を受給していました…

義援金の使途と「自立更生」(生活保護と義援金③)

義援金の使途 「東日本大震災による被災者の生活保護の取扱いについて(その3)」 「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」 義援金の使途 前回までの記事で,『自立更生のためにあてられる義援金は,被保護世帯の「収入」とは認定されない』こ…

「自立更生のためにあてられる」義援金(生活保護と義援金②)

「自立更生のためにあてられる」義援金とは… 「生活保護法による保護の実施要領について」 東日本大震災・熊本地震における通知の修正 義援金の使途は… 「自立更生のためにあてられる」義援金とは… 1つ前の記事で,『自立更生のためにあてられる義援金は,…

義援金と収入認定(生活保護と義援金①)

義援金と収入認定 「生活保護法による保護の実施要領について」 厚生労働省の見解 自立更生のためにあてられる義援金は,被保護世帯の「収入」とは認定されない 収入認定から除外される義援金とは? 義援金と収入認定 「義援金は収入」善意に壁 生活保護停止…

司法修習生と生活保護

司法修習の給費制の廃止 司法修習生は生活保護を受給できるか? 補足性の原理との関係 稼働能力の有無 稼働能力活用の意思 貸与制に対する抗議活動としての生活保護申請 司法修習の給費制の廃止 今年から,司法修習の給費制が廃止され,貸与制に移行すること…