義援金の使途
前回までの記事で,『自立更生のためにあてられる義援金は,被保護世帯の「収入」とは認定されない』ことを書きました。
最後に残る問題は,義援金を何に使えば「自立更生のためにあてられる」ことになるのか(=義援金の使途)です。
「東日本大震災による被災者の生活保護の取扱いについて(その3)」
これについては,平成23年5月2日付「東日本大震災による被災者の生活保護の取扱いについて(その3)」の別紙2にわかりやすくまとめられています。
「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」
この費目の根拠となるのは,「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」(昭和38年4月1日 社保第34号 厚生省社会局保護課長通知)という通知です。
非常に長くて細かいですが,以下に引用しておきます。
問40 局長通知第8の2の(3)及び(4)にいう自立更生のための用途に供される額の認定は、どのような基準によるべきか。
答 被保護世帯の自立更生のための用途に供されるものとしては、次に掲げる経費にあてられる額を認めるものとすること。これによりがたい特別の事情がある場合は、厚生労働大臣に情報提供することなお、この場合、恵与された金銭又は補償金等があてられる経費については、保護費支給又は就労に伴う必要経費控除の必要がないものであること。
(1) 被保護者が災害等により損害を受け、事業用施設、住宅、家具什器等の生活基盤を構成する資産が損われた場合の当該生活基盤の回復に要する経費又は被保護者が災害等により負傷し若しくは疾病にかかった場合の当該負傷若しくは疾病の治療に要する経費
(2) (1)に掲げるもののほか、実施機関が当該被保護世帯の構成、世帯員の稼働能力その他の事情を考慮し、次に掲げる限度内において立てさせた自立更生計画の遂行に要する経費
ア 当該経費が事業の開始又は継続、技能習得等生業にあてられる場合は、生活福祉資金の更生資金の貸付限度額に相当する額
イ 当該経費が医療にあてられる場合は、医療扶助基準による医療に要する経費及び医療を受けることに伴って通常必要と認められる経費の合算額
ウ 当該経費が介護等に充てられる場合は、生活福祉資金の療養・介護資金の貸付限度額に相当する額
エ 当該経費が家屋補修、配電設備又は上下水道設備の新設、住宅扶助相当の用途等にあてられる場合は、生活福祉資金の住宅資金の改修費の貸付限度額に相当する額
オ 当該経費が、就学等にあてられる場合は、次に掲げる額
(ア) 当該経費が幼稚園等での就園にあてられる場合は、入園料及び保育 料その他就園のために必要と認められる最小限度の額
(イ) 当該経費が義務教育を受けている児童の就学にあてられる場合は、入学の支度、学習図書、運動用具等の購入、珠算課外学習、学習塾費等、修学旅行参加等就学に伴って社会通念上必要と認められる用途にあてられる最小限度の実費額
(ウ) 当該経費が高等学校等、夜間大学又は技能修得費(高等学校等就学費を除く)の対象となる専修学校若しくは各種学校での就学にあてられる場合は、入学の支度及び就学のために必要と認められる最小限度の額(高等学校等の就学のために必要と認められる最小限度の額については、学習塾費等を含む。貸付金については、原則として、高等学校等就学費の支給対象とならない経費(学習塾費等を含む。)及び高等学校等就学費の基準額でまかないきれない経費であって、その者の就学のために必要な最小限度の額にあてられる場合に限る。)
カ 当該経費が、結婚にあてられる場合は寡婦福祉資金の結婚資金の貸付限度額に相当する額
キ 当該経費が弔慰に当てられる場合は、公害健康被害の補償等に関する法律による葬祭料の額
ク 当該経費が、当該世帯において利用の必要性が高い生活用品であって、保有を容認されるものの購入にあてられる場合は、直ちに購入にあてられる場合に限り、必要と認められる最小限度の額
ケ 当該経費が通院、通所及び通学のために保有を容認される自動車の維持に要する費用にあてられる場合は、当該自動車の利用に伴う燃料費、修理費、自動車損害賠償保障法に基づく保険料、対人・対物賠償に係る任意保険料及び道路運送車両法による自動車の検査に要する費用等として必要と認められる最小限度の額
コ 当該経費が国民年金受給権を得るために充てられる場合は、国民年金の任意加入保険料の額