弁護士 木村康之のブログ

世田谷区・経堂の弁護士です。身近な法律問題についての情報を発信していきます。

02-01 相続・遺言

相続における特別受益の取扱い(特別受益と期限)

令和5年4月1日より、相続開始後10年を経過した場合には、原則として特別受益・寄与分の主張ができなくなります(民法904条の3)。 このルール自体は分かりやすいのですが、特別受益については、場面毎に異なる期限が設定されており、全体として非常…

遺言が成立した日と異なる日付が記載された自筆証書遺言の効力(最一判令和3年1月18日)

(自筆証書遺言)第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場…

再転相続における熟慮期間の起算点(最二判令和元年8月9日)

【民法】 (相続の承認又は放棄をすべき期間)第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求…

自筆証書遺言の方式緩和(パソコンで作成された遺言書の効力・その3)

遺言書をパソコンで作成することは認められていなかった 2019年1月13日施行の相続法改正 財産目録については,手書きが不要になった 各ページに署名・押印が必要 遺言書の本体については… 遺言書をパソコンで作成することは認められていなかった 以前…

遺産分割前の預貯金払戻し(2019年7月1日施行相続法改正)

最大決平成28年12月19日の判断 相続法改正による遺産分割前の預貯金払戻し制度 家庭裁判所の判断によらずに預貯金を払い戻す制度 家庭裁判所の保全処分により預貯金を払い戻す制度 最大決平成28年12月19日の判断 最高裁判所は,平成28年12月…

相続法改正の全体像(民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号))

2019年1月13日施行 遺言制度についての改正 2019年7月1日施行 遺産分割に関する改正 遺言制度についての改正 遺留分制度についての改正 相続の効力についての改正 相続人以外の親族についての改正 2020年4月1日施行 配偶者の居住権につい…

遺産分割調停において,相手方の代償金提示額300万円→950万円に増額した事例【相続(遺産分割・遺言等)関係事件】

事案の概要 被相続人が死亡し,被相続人の子A・Bの2名が相続人となったが,被相続人とAが居住していた不動産(土地・建物)の分割方法について争いが生じた事案。 弁護活動と結果 相続人AからBに対して遺産分割調停の申立てがなされ,同調停において,…

被相続人の死亡から4年以上が経過していたが,相続放棄の申述が受理された事例【相続(遺産分割・遺言等)関係事件】

事案の概要 被相続人の相続財産が存在しないと思っていたことから,相続人である依頼者が相続放棄等の手続をしていなかったところ,被相続人の死亡から約4年後に,被相続人の債権者から債務の返済を求められた事案。 弁護活動と結果 被相続人の生前の生活状…

無効な遺言と死因贈与(パソコンで作成された遺言書の効力・その2)

遺言書としては無効であるとしても… 死因贈与契約について 死因贈与契約の成立を認めた裁判例 広島高判平成15年7月9日 遺言書としては無効であるとしても… 前回の記事のとおり,パソコンで作成された遺言書は,「遺言書としては無効」であると考えられま…

遺言書の作成方法(パソコンで作成された遺言書の効力・その1)

パソコンで作成された遺言書の効力は… 遺言の種類 ①自筆証書遺言 ②公正証書遺言 ③秘密証書遺言 秘密証書遺言とするための手続を踏んでいない限り,遺言書としては無効 パソコンで作成された遺言書の効力は… 日頃の業務の中で,「パソコンを使って書かれた遺…