弁護士 木村康之のブログ

世田谷区・経堂の弁護士です。身近な法律問題についての情報を発信していきます。

02 民事事件

再転相続における熟慮期間の起算点(最二判令和元年8月9日)

【民法】 (相続の承認又は放棄をすべき期間)第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求…

自筆証書遺言の方式緩和(パソコンで作成された遺言書の効力・その3)

遺言書をパソコンで作成することは認められていなかった 2019年1月13日施行の相続法改正 財産目録については,手書きが不要になった 各ページに署名・押印が必要 遺言書の本体については… 遺言書をパソコンで作成することは認められていなかった 以前…

遺産分割前の預貯金払戻し(2019年7月1日施行相続法改正)

最大決平成28年12月19日の判断 相続法改正による遺産分割前の預貯金払戻し制度 家庭裁判所の判断によらずに預貯金を払い戻す制度 家庭裁判所の保全処分により預貯金を払い戻す制度 最大決平成28年12月19日の判断 最高裁判所は,平成28年12月…

相続法改正の全体像(民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号))

2019年1月13日施行 遺言制度についての改正 2019年7月1日施行 遺産分割に関する改正 遺言制度についての改正 遺留分制度についての改正 相続の効力についての改正 相続人以外の親族についての改正 2020年4月1日施行 配偶者の居住権につい…

保険会社の提示額約400万円(後遺障害等級10級)→約2200万円(後遺障害等級6級)に増額した事例​【交通事故】

事案の概要 依頼者が自転車で交差点を横断中,右方向から進行してきた車に衝突され,左足関節の麻痺等の後遺症が残った事案。 弁護活動と結果 相手方の保険会社は,当初,左足関節の麻痺を後遺障害として評価しておらず,同社からは,それ以外の後遺障害の等…

大家さん向けの「孤独死」保険

物件の明渡しや未払賃料,原状回復費用の請求 物件の明渡しを誰が行うか 未払賃料や原状回復費用を誰に請求するか これらの手続の費用を誰が負担するか 明渡し完了後の問題 保険による対策の有効性 「孤独死」保険、大家さん向け 損保大手、家賃損失など補償…

遺産分割調停において,相手方の代償金提示額300万円→950万円に増額した事例【相続(遺産分割・遺言等)関係事件】

事案の概要 被相続人が死亡し,被相続人の子A・Bの2名が相続人となったが,被相続人とAが居住していた不動産(土地・建物)の分割方法について争いが生じた事案。 弁護活動と結果 相続人AからBに対して遺産分割調停の申立てがなされ,同調停において,…

賃貸人から連帯保証人に対する滞納家賃の請求について,賃貸人の請求金額約130万円から半額に減額した事例【不動産(土地・建物,マンション,アパート等)関係事件】

事案の概要 建物の賃貸人が家賃を約18ヶ月滞納した後に破産したため,連帯保証人2名が賃貸人から滞納家賃約130万円の支払いを請求された事案。 弁護活動と結果 賃貸人から連帯保証人2名に対して,滞納賃料約130万円全額の支払いを求める訴訟を提起…

元後見人による相続人調査と(閉鎖)後見登記事項証明書

元後見人が相続人を調査する際に,(閉鎖)後見登記事項証明書は必要? 請求者の本人確認(戸籍法10条の3第1項)と権限確認(同2項)について 市区町村からの説明要求(戸籍法10条の4)について 元後見人が相続人を調査する際に,(閉鎖)後見登記事…

記事掲載のお知らせ(弁護士ドットコムニュース)

弁護士ドットコムニュースに,死者への名誉毀損に関する下記の記事が掲載されました。 「わいせつ行為好き」死亡女性になりすましSNS投稿、遺族は損害賠償請求できる?

マンション内のゴミ屋敷への対処法

マンション内のゴミ屋敷問題 居室の使い方は,原則として区分所有者の自由 建物区分所有法第6条1項による制限 「他の区分所有者の共同の利益」に反する場合には,結果の除去等の請求が可能 強制執行により,ゴミの撤去等を実現した例 マンション内のゴミ屋…

質屋に対する過払金返還請求をお考えの方へ

このブログをご覧になられた方から,質屋に対して過払金の返還を請求したいというご相談をいただくことが増えてきました。 ご相談にお越しいただくにあたって,是非お願いしたいことが1つあります。 「質札」については,質屋との取引が継続している間に,…

記事掲載のお知らせ(弁護士ドットコムライフ)

弁護士ドットコムライフに,人工妊娠中絶と損害賠償請求に関する下記の記事が掲載されました。 『心変わりした彼氏が「やっぱり堕ろして」「認知しない」…慰謝料請求できる?』

負債の一部がFX取引によるものであったが,自己破産(同時廃止)による免責が許可された事例【債務整理事件】

事案の概要 負債総額が約170万円で,そのうち約60万円をFX取引で費消していた事案。 弁護活動と結果 通帳の履歴からFX取引で費消した金額を特定し,裁判官との面接で事情を詳しく説明したことで,破産管財人が選任されることなく破産手続が終了とな…

消費者金融4社に対する債務整理で,1社から過払金を回収し,他社の債務をすべて弁済した事例【債務整理事件】

事案の概要 消費者金融4社に対する債務整理(任意整理)の事案。 弁護活動と結果 4社に対して受任通知を送り,各社から送られてきた取引履歴を利息制限法の制限利率に引き直して計算したところ,1社に対して過払いがあることが判明した。そこで,この1社…

不貞行為による慰謝料請求について,相手方の請求金額から110万円を減額した事例【男女問題】

事案の概要 既婚者と不貞行為に及んだとして,依頼者が,相手方(=既婚者の配偶者)から慰謝料を請求された事例。 弁護活動と結果 相手方は慰謝料として150万円を請求していたが,交渉の結果,相手方の請求金額から110万円を減額し,依頼者が相手方に…

婚約破棄による損害賠償を請求し,解決金200万円の支払いを受けた事例【男女問題】

事案の概要 依頼者が,交際相手から,両親の反対を理由に婚約を破棄された事案。 弁護活動と結果 相手方は,当初,解決金として50万円の支払いを提示していたが,婚約破棄に至る経緯における相手方の行動の悪質性が高いことを指摘して交渉した結果,解決金…

被相続人の死亡から4年以上が経過していたが,相続放棄の申述が受理された事例【相続(遺産分割・遺言等)関係事件】

事案の概要 被相続人の相続財産が存在しないと思っていたことから,相続人である依頼者が相続放棄等の手続をしていなかったところ,被相続人の死亡から約4年後に,被相続人の債権者から債務の返済を求められた事案。 弁護活動と結果 被相続人の生前の生活状…

採用内定の取消により,損害賠償金160万円の支払いを受けた事例【労働事件】

事案の概要 採用内定後に,会社側の都合により採用内定を破棄された事案。 弁護活動と結果 当初,会社側からは慰謝料として80万円の支払い提示があったが,採用内定後に依頼者が勤務先を退職していること等を指摘して交渉した結果,損害賠償金として160…

家賃を滞納していた賃借人から建物の明渡しを受け,連帯保証人から滞納家賃全額を回収した事例【不動産(土地・建物,マンション,アパート等)関係事件】

事案の概要 依頼者が所有する建物の賃借人が,家賃を約半年間にわたり滞納していた事案。 弁護活動と結果 賃借人と連帯保証人に滞納賃料を支払うよう内容証明郵便で催告したが,支払いがなかったことから,建物の賃貸借契約を解除し,建物の明渡しと滞納賃料…

保険会社の提示額約40万円→約98万円へと増額した事例【交通事故】

事案の概要 依頼者が自転車で車道を直進中,駐車場から車道に出ようとした車に横から衝突された事案。 弁護活動と結果 相手方の保険会社からは,当初,損害賠償金として約40万円の提示があったが,交渉の結果,損害賠償金が増額され,約98万円の支払いを…

保険会社の提示額約35万円→約120万円へと増額した事例【交通事故】

事案の概要 依頼者が原動機付自転車で直進中,後方から追い越してきたトラックに接触された事案。 弁護活動と結果 相手方の保険会社は,依頼者の過失を主張し,損害賠償金として約35万円を提示していたが,訴訟を提起して争った結果,裁判所は依頼者の過失…

無効な遺言と死因贈与(パソコンで作成された遺言書の効力・その2)

遺言書としては無効であるとしても… 死因贈与契約について 死因贈与契約の成立を認めた裁判例 広島高判平成15年7月9日 遺言書としては無効であるとしても… 前回の記事のとおり,パソコンで作成された遺言書は,「遺言書としては無効」であると考えられま…

遺言書の作成方法(パソコンで作成された遺言書の効力・その1)

パソコンで作成された遺言書の効力は… 遺言の種類 ①自筆証書遺言 ②公正証書遺言 ③秘密証書遺言 秘密証書遺言とするための手続を踏んでいない限り,遺言書としては無効 パソコンで作成された遺言書の効力は… 日頃の業務の中で,「パソコンを使って書かれた遺…

人工妊娠中絶による損害賠償額(人工妊娠中絶による慰謝料請求の可否・その2)

裁判例で認められた損害賠償額 東京地判平成21年5月27日 東京地判平成24年5月16日 裁判例で認められた損害賠償額 以前の記事で,中絶をした女性から男性に対する損害賠償請求を認めた裁判例2つをご紹介しましたが,これらの裁判例で具体的にいく…

婚約の認定(婚約破棄と慰謝料請求・その1)

婚約の不当破棄による損害賠償請求 損害賠償請求のためには,婚約の成立を証明する必要がある 婚約の成立をどう立証するか 大判昭和6年2月20日 東京地判平成24年1月27日 外形的な事実から,婚約の成立を推測していく 結納や婚約指輪は,婚約の成立…

不法行為による損害賠償請求と人工妊娠中絶(人工妊娠中絶による慰謝料請求の可否・その1)

不法行為による損害賠償請求と人工妊娠中絶 不法故意による損害賠償請求 人工妊娠中絶についての従来の考え方 損害賠償請求を認める裁判例の出現 東京高判平成21年10月15日 東京地判平成24年5月16日 不法行為による損害賠償請求と人工妊娠中絶 不…

訴状の受け取りを拒否した場合(訴状を無視した場合の結末・その3)

訴状の受け取りを拒否すると… 「書留郵便に付する送達」(付郵便送達) 擬制自白による敗訴判決 訴状が届いたら… 訴状の受け取りを拒否すると… 次に,被告が不在を装って訴状を受け取らなかった場合はどうでしょうか。 「書留郵便に付する送達」(付郵便送達…

受け取った訴状を放置した場合(訴状を無視した場合の結末・その2)

受け取った訴状を放置すると… 審理・判決は可能 擬制自白による敗訴判決 受け取った訴状を放置すると… まず,被告が訴状を受け取りながらこれを放置した場合はどうでしょうか。 審理・判決は可能 被告が訴状の送達を受けているということは,裁判所が審理を…

民事裁判と訴状の「送達」(訴状を無視した場合の結末・その1)

訴状の提出による民事裁判の提起 審理・判決のためには訴状の「送達」が必要 郵便による送達 訴状の放置,受け取り拒否 訴状を無視した場合の結末は… 訴状の提出による民事裁判の提起 民事裁判は,原告が,裁判所に「訴状」を提出することによって提起されま…