弁護士 木村康之のブログ

世田谷区・経堂の弁護士です。身近な法律問題についての情報を発信していきます。

偽装質屋問題の背景にあるもの(ヤミ金による偽装質屋の問題・その1)

質屋を装うヤミ金

『質店装うヤミ金、摘発強化=年金口座から取り立ても-警察庁』時事ドットコム

ヤミ金が,質店を装って高金利で貸し付けを行うという手口が広がっているそうです。

問題の背景にあるのは

質屋営業法第36条による出資法第5条2項の読み替え

以前の記事で書きましたが,質屋営業法第36条は,質屋について,出資法第5条2項の定める上限利率(年20%)を「年109.5%」と読み替えて適用しています。

出資法5条2項によると,貸金業者は,年20%を超える利率で金銭の貸し付けを行うと「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれの併科」という刑事罰の対象になりますが,質屋については,質屋営業法第36条による読み替えがありますので,年109.5%までは刑事罰の対象にはなりません。

そのため,ヤミ金業者が,刑事罰の対象となることを避けるために,質屋を装って高金利での貸し付けを行っているというのが実態のようです。

質屋営業法第36条が存在する理由は…

このような現象が起こる原因の1つに,質屋営業法が,質屋について出資法5条2項の制限利率を「年109.5%」と読み替えて適用していることがあるわけですが,次の記事では,なぜこのような規定が存在しているのかについてご説明したいと思います。

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