弁護士 木村康之のブログ

世田谷区・経堂の弁護士です。身近な法律問題についての情報を発信していきます。

検察 誤って法律上限超の求刑 東京地裁も気付かず判決言い渡す | NHKニュース

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東京地方検察庁の検察官は先月21日、わいせつなDVD21枚を販売目的で所持した罪に問われた2人の被告の裁判で、誤って法律の上限を6か月上回る懲役2年6か月を求刑したということです。

東京地方裁判所もこれに気付かず、2人に対していずれも執行猶予の付いた懲役2年6か月の判決を言い渡していました。

執行猶予が付く事案の場合,裁判官はほとんどと言っていいほど,検察官の求刑そのままの刑期で刑を言い渡します。
(私が弁護士登録してから11年間で担当した刑事事件の中で,執行猶予が付く事案で求刑より刑期が短くなったのは1件だけです。) 

この事案も,おそらく,執行猶予が付くのだからと検察官の求刑そのままの刑を言い渡したら,求刑が間違っていた,ということなんでしょう。

検察官の求刑も問題ですが,それ以上に,人の身体を拘束することに対する裁判官の意識が軽すぎやしないでしょうか。
刑事裁判を担当していると,とにかく定型的に処理をしたがる裁判所の対応にイライラすることが多い(人員も時間も限られているのは分かりますが,それにしても。)です。