ときどき,ご依頼をいただいている方や友人・知人との雑談の中で,弁護士はどのくらいの案件数を抱えているのかと聞かれることがあります。
また,同業者の間でも,手持ちの案件数がどのくらいあるのかが話題になることがあります。
手持ちの案件数については,地域や事務所の取扱業務等によっておそらくかなり差があると思いますし,また,どこからどこまでが1つの案件となるのか,といった微妙な問題もあるのですが,そういったことはひとまず置いておいて,これまで私が見聞きした範囲で,弁護士がどのくらいの案件数を抱えているのかについて書いてみようと思います。
弁護士の案件数についての個人的な実感
私は2009年末に弁護士登録をして,その後3つの事務所を経て,現在の事務所を開業しました。
その中で,事務所の同僚の弁護士や,会合等で顔を合わせた同期の弁護士から聞いたところからすると,いわゆる「町弁」といわれるような業態の弁護士の場合,弁護士1人が抱えている案件数は「20件~60件の間,20件だとかなり少なく,30件~50件が平均的,50を超えるとちょっと多い」くらいかなあ,というのが個人的な実感です。
(厳密に数えたわけではありませんが,私のこれまでの手持ち案件数も,おそらくこの範囲内に常に収まっていたはずです。)
手持ち案件数が50件の場合,月に200時間働いたとして,1つの案件にかけられる時間は平均して月4時間と考えると,これくらいが適正な業務量なのかなあと考えています。
(といっても,実際には事務所運営や弁護士会の会務・研修,自分の勉強等に充てる時間も必要なので,労働時間はもっと多くなるのですが・・・苦笑。)
日弁連のアンケート結果では…
以上はあくまで個人的な実感ですが,日弁連が2014年に全弁護士を対象に行ったアンケートでも,取扱事件数が「10件未満」から「50件以上60件未満」までの層で全体の86.5%を占めているので,あながち外れてはいないのではないかと思っています。